マイシッポコラム-愛犬旅を充実させる情報集-

【獣医師執筆】
愛犬との夏の旅行を楽しむには

飼い主様ご家族の夏休みに合わせて、愛犬も連れて旅行に行ってみたいですよね。
さて、どこに行きましょう?
わんちゃんを連れて行く夏の旅行先は、高原の避暑地はいかがでしょう。

愛犬家の皆様ならすでにご存じの通り、犬は暑さに弱い動物です。
コンクリートとアスファルトに囲まれた都市部によく見られる生活環境下の場合、エアコンの効いた室内なら暑さをしのぐことはできても、お外ではそうはいきません。猛暑の期間は散歩に行ける時間帯も限られ、散歩の量も質も下がってしまいます。
運動要求量の多い犬にとっては屋外で十分運動ができないことは、かなりのストレスになります。十分な散歩に行けないわんちゃんがストレス発散のために家の中で暴れると、そのことが飼い主さん家族のストレスに・・・。
そんな負の連鎖を、避暑地への旅行でリセットしませんか。

計画はわんちゃんファーストで!

旅行に行くと決めたら早速計画を立てましょう。
計画を立てるときのポイントはわんちゃんファースト。何故ならわんちゃんを連れて行ける場所というのは実際は限られているからです。旅程の中に「あれ?この時わんちゃんどうしよう」という空白の時間が無いように、全行程を通してわんちゃんが安全安心に過ごせることが第一条件になります。
夏の旅行に関しては、途中あちこち寄り道して移動時間が長くなってしまうことは避け、涼しい目的地に行ってそこでゆっくり過ごすことをおすすめします。
人だけで行く旅行より制約は増えますが、「愛犬を乗せて走るルートはどうしよう?」とか、「ドッグランのあるサービスエリアはどこかな?」とか、いろいろなわんちゃん情報を集めて愛犬との旅を組み立てていくことをまずは楽しんでください。

目的地を決める

さて、では涼しく過ごせるところとは?
自然豊かな場所であれば、木々が直射日光を遮り木陰の小径は輻射熱の心配もなく、快適にお散歩できるでしょう。(真日中は暑くなることがありますので、現地の気温などに合わせた活動をしてください)すでに避暑地として認知されている場所に絞って行く先を決めるのもいい方法だと思います。
宿泊先はわんちゃんと自由に過ごせる環境が整ったところがいいと思います。

移動手段

鉄道などの公共の交通機関にも条件を守ればわんちゃんを乗せることは可能のようですが、かなり自由度が低いため長距離の移動には向いていないと思われます。
自家用車での移動は旅程に融通も利きますし、参考として後述しますがわんちゃんを連れての旅行は荷物も多くなるので、一番おすすめです。

わんちゃんを自動車に乗せる場合は、車内にしっかり固定したクレートやケージに入れるか、犬用シートベルトを使用するなど、わんちゃんの安全対策を講じてください。わんちゃんが車内を自由に動ける状態はわんちゃん自身が危険なだけでなく、安全運転の妨げになる場合もあるので絶対に避けましょう。
車内でのわんちゃんの居場所の温度に配慮してください。クレートの場合、わんちゃんの体温がこもってしまう場合がありますので、空気の流れを作るなどして温度の上がり過ぎに注意してください。
わんちゃんの様子や道路状況を鑑みて、適宜休憩を取りましょう。休憩の際には、わんちゃんの様子(よだれをたらしてはいないか、嘔吐してはいないか、元気はいつも通りかなど)を必ず確認してください。お水はわんちゃんが安心できる落ち着いた場所で飲ませましょう。

さあ、目的の宿泊先に到着

宿泊先に到着したら、建物に入る前に10~20分程度のお散歩をおすすめします。長旅で疲れているとはいっても、ほとんど自動車の中の限られた空間で過ごしてきたわけですから、わんちゃんは体もこわばっているでしょうし、体力も有り余っていることでしょう。お散歩をさせることで、こわばった体を十分伸ばし溜まったエネルギーを発散させてあげましょう。においを嗅ぐことも犬にとっては重要なことなので、あまり急かしたりしないである程度楽しませてあげましょう。また、この時に用を足すように促すことで、宿泊先のお部屋に入った途端粗相をしてしまうということも避けられます。

宿泊先では木陰を散歩したり、ボール遊びをしたり、大自然の中でわんちゃんとの時間をどうか満喫してください。

日ごろの暑さから逃れて、わんちゃんも飼い主さんもリフレッシュできることと思います。

参考:持ち物

  • 普段から使い慣れているクレート(あるいはケージ)
  • 普段から使っている食器、給水機
  • 普段から使っているおもちゃ類

わんちゃんが日常使っているもの(それに準じるもの)を持参することで旅先でも安心して過ごせる環境を用意できます。

  • いつものフード(一食分ずつ小分けにしておくと便利です。予備のフードも忘れずに)
  • 食べ慣れたおやつ

食べるものが変わるとお腹の調子が悪くなる場合があります。旅先だからこそ、いつもの食事で体調管理を。

  • 予備のハーネス(あるいは首輪)、リード

これらは新品のままではなく、事前に迷子札を付けておく、サイズ調整をしておく、できればある程度使用してわんちゃんになじませておくといいでしょう。

  • 飲み水とは別に汚れた体や足を洗うための水
  • 体を拭くタオル

移動中の休憩時や目的地での散歩中に、泥などで体が汚れてしまう場合があります。水で汚れを流し、タオルでしっかり水分を拭きとりましょう。

  • その他ゴミ袋など適宜

かなりの大荷物になってしまいますが、わんちゃんが旅先でも安心して過ごせるようにするものですので、参考にして荷造りしていただけたらと思います。

愛犬との夏の旅行におすすめの宿泊先

わんちゃんも飼い主さんも快適に過ごせる避暑地として、那須や白馬、軽井沢へのお出かけはいかがでしょうか。

執筆者プロフィール

田邊 弘子
獣医師(DVM MS)、日本ヒューマン・ドッグウォーキング協会理事

一般企業から動物病院、ドッグフードの通信販売会社勤務を経て、犬の飼育についての理解を深めることを目的とした飼い主向け情報誌の製作などを行う。
<人と暮らす犬が幸せになれるように><犬と暮らす人が幸せになれるように>をモットーに、多くの飼い主へ情報を発信している。
ごあいさつ