マイシッポコラム-愛犬旅を充実させる情報集-

【獣医師執筆】
写真・動画を活用しよう!

スマートフォンの普及で、簡単に写真や動画を撮影したり、そのデータを複数人で共有することができるようになりました。飼い主の皆さんは、愛犬のかわいい姿を沢山撮影されていることでしょう。ちょっと視点を変えて撮影方法や保存方法を工夫することで、写真や動画をわんちゃんの健康管理に役立てることができますのでご紹介いたします。

月イチの記録を残してみよう

日々のかわいい姿の撮影の他に、わんちゃんの成長やライフステージにおける変化を把握できるよう、客観的な写真を撮ってみてはいかがでしょう。
月に1回撮影する日を決めて、トリミングするわんちゃんの場合はトリミングの前と後に撮影するのがお勧めです。撮影する場所は、室内の落ち着いた場所、背景に写り込むものも同じ方がよいでしょう。撮影時にメジャーなどを置くのもおすすめです。立っているところと座っているところを、正面、横、後、上から撮影してみましょう。
このような写真を撮ること自体が、わんちゃんを客観的に見ることになります。また、定期的に撮影された写真を見ることでわんちゃんの緩やかな変化に気づくきっかけになります。写真撮影時や過去の写真と比べて『あれ?』と感じることがあったら、そのままにせず動物病院で相談してください。
いつもいつも触れ合っているわんちゃんでも、普段の生活では案外目に触れないこともあるので、いつもとは違う目線でわんちゃんを見ることができる客観的な写真を撮っていただけたらと思います。

家族間での情報共有に利用する

わんちゃんのお世話を家族で分担されているご家庭も多いかと思います。お仕事や学校の都合で、この時間帯のお散歩はお父さん、この時間帯はお母さん、この時間帯はお子さんと担当を分けていた場合、それぞれ今日はどのコースにしようかなというのは担当する方の裁量に任されているかと思います。お散歩にどれくらい行ったのか、食事は完食したか、食事の他におやつを与えたか、排せつはどうだったか、といったことはわんちゃんをお世話する全員が把握しておいていただきたいことです。
口頭で伝えてもいいように思えますが、飼い主さん家族が時間を分けてわんちゃんのお世話をしてる場合、顔を合わせたときに情報共有したとしても、時すでに遅しということもあるかもしれません(例えば、夕方出かける前にお母さんが食事をあげて、夜帰って来たおとうさんも知らずに食事をあげてしまう、といったこと)。そこで活用していただきたいのが写真の共有です。

撮った写真は共有ファイルに保存する

わんちゃんのお世話でキーポイントとなる写真を撮りましょう。この写真は、わんちゃんに対して何をしたか分かればいいので、わんちゃん自体を写す必要はありません。お散歩についてはどのコースに行ったか分かるよう散歩コースの一番遠くの地点で写真を撮る、食事については計量した時の写真を撮る、完食の場合は空のお皿、残した場合は残した量が分かる写真を撮る、おやつを上げたらそれもパチリ、排泄に関しては、実物を撮るのに抵抗があるなら、したことが分かる写真を撮りましょう。
それらの写真は、すぐに家族が見ることができる共有ファイルに保存してください。デジタルの写真には時間もデータに残るので、画像だけでなく時間も確認することもできるのもメリットのひとつです。
ご自分がわんちゃんのお世話をする前に、共有ファイルの写真で前の方がどんなお世話をしていたかを確認することで「朝の散歩は短めだったから、夕方はちょっと長く行くことにしよう」とか、「食事を残しているけど、おやつを先に食べてるのね」といった判断材料にすることができます。日々の生活の中では、 散歩や食事の内容にばらつきもあるものです。保存された写真を参考に1週間くらいの単位で調整することを意識されてはいかがでしょう。

動画を撮ってスムーズな受診

わんちゃんが、時々気になることをする、といった場合、その様子を動画に収めておくと動物病院で受診する際、説明の手助けになります。
相談用の動画を撮る際は、わんちゃんの全身が映るように撮影してください。飼い主さんが相談したいと思うところのみクローズアップした場合、実は悪いところはそこでは無いという場合もあるからです。
たまにしか現れない状態を逃すことなく動画撮影できるように、お使いのスマホの動画撮影に慣れておくことをお勧めします。
練習してもうまく撮れない場合、動画を撮影する飼い主さんの動作がわんちゃんに悪影響を及ぼすと考えられる場合、留守中の様子を撮影したいといった場合には、ペットカメラを利用してみて下さい。

人の場合、家庭の他に、学校や会社、地域といったいろいろなコミュニティに属しているので、他者から発達や健康状態について気づいたことを知らされる機会がありますが、わんちゃんは家庭の中で生活が完結していますので、飼い主さんが気づいてあげないことにはわんちゃんの健康は保てません。スマホで撮影した写真や動画を上手に活用して、わんちゃんの健やかな生活のために役立てていただければと思います。

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執筆者プロフィール

田邊 弘子
獣医師(DVM MS)、日本ヒューマン・ドッグウォーキング協会理事

一般企業から動物病院、ドッグフードの通信販売会社勤務を経て、犬の飼育についての理解を深めることを目的とした飼い主向け情報誌の製作などを行う。
<人と暮らす犬が幸せになれるように><犬と暮らす人が幸せになれるように>をモットーに、多くの飼い主へ情報を発信している。
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