マイシッポコラム-愛犬旅を充実させる情報集-

【獣医師執筆】
一年の計画を立ててみましょう

新しい年度を迎えるにあたり、わんちゃんとの生活についての計画を立ててみませんか。「一年の計は元旦にあり」と言われるので、1月のほうが良いようにも思えますが、職場の異動、進学・進級といったご家族の生活の変化が起きる新年度に合わせて計画を立てた方が現代には合っていると思います。

各種予防の予定を確認

昨年度の記録を元に、今年度の予定をカレンダーにメモしましょう。まだ各種予防が一巡していない子犬ちゃんの場合は、新年度の予定はかかりつけ動物病院に確認しましょう。
毎年4月から6月は狂犬病予防注射期間です。わんちゃんの新年度の予防は狂犬病の予防注射からと言ってもいいくらいです。余談になりますが、狂犬病とその予防接種については厚生労働省のホームページに詳しい記載がありますので、一度読まれることをお勧めします。狂犬病の予防接種は、自治体から案内がくる集合注射の他に動物病院で受けることもできます。動物病院で受ける方が日程の融通も利きますし、わんちゃんの健康診断を同時に受けることも可能ですのでお勧めです。
混合ワクチンの接種日や、フィラリア、ノミ・ダニといった寄生虫の予防も昨年度に行った日付でカレンダーにメモをしていきましょう。

昨年度の体調不良やケガを再確認

昨年度起こした体調不良(お腹を壊した、皮膚炎を起こした等々)やケガも今年度のカレンダーの同月にメモしましょう。原因が分かる場合はそれも併せてメモしておきましょう。
メモをすることで、体調不良やケガの原因が気候や季節に関連することを再認識できれば季節の変わり目に注意して早めに対策をすることができます。例えば、どうも暑さに弱そうだなと疑われる場合は早めにエアコン使用開始する、わんちゃんの居場所を夏仕様に替えるなど、対策を工夫することができます。
昨年度の記録がまとまったものが無くても、通院記録やスマホの写真、家族間の通信のやりとりなどを探せばデータは集まります。

全体を俯瞰してみる

各種予防、体調不良、ケガ等々、新年度のカレンダーに書き込んだものを全体を通して眺めてみてください。
狂犬病の予防注射、期間に幅があるからと言って接種を延ばし延ばししているうちに真夏のような日に受けさせて体調不良を起こした、といったことがあったら、今年度はわんちゃんにとって過ごしやすいまだ気温の低い4月中に接種を受けさせる、といった対策が見えてきます。医療に関わることなので、飼い主さんからみてどうもそういう傾向が疑われると思ったら、かかりつけの獣医師に相談してください。
このような感じで昨年度の記録を元に、新年度のわんちゃんのスケジュールをざっくり組んでみてはいかがでしょう。

家族の予定を重ねてみる

飼い主さん家族の新年度の予定も分かる分はカレンダーにメモしましょう。
新年度になると、職場の異動や進級・進学といったように飼い主さんご家族にも変化があるかと思います。単身赴任やお子さんが進学や独立で家を離れるといった、わんちゃんと暮らす家族の構成に変化があるかもしれません。家族内であってもその人しか把握していないわんちゃんについての情報があるかもしれませんので、わんちゃんと暮らすご家族に情報共有をしていただければと思います。
新学期を迎えるお子さんの成長段階に合わせて、わんちゃんの飼育に関わる責任ある仕事を任せることを検討されてみてはいかがでしょう。例えば、朝夕の飲み水の交換、食後の食器洗い、お散歩、わんちゃんの居場所のお掃除など。わんちゃんのお世話は、些細なことでも突き詰めれば命に係わって来ますので、最終的には大人が責任を持たなければなりませんが、実際に世話をすることでお子さんもわんちゃんと暮らすということの責任を実感されることと思います。

レジャーの予定も入れてみる

わんちゃんを含めての家族全員の予定を大まかに把握出来たら、レジャーの計画も立てやすくなります。わんちゃんも含めて家族全員が都合の合う日に予定を入れることもできますし、行きたい日に向けて日程の調整をすることもできるかと思います。わんちゃんの各種予防のスケジュール調整は早めにかかりつけ動物病院でご相談ください。行先などが分かっている場合はそれも併せてお伝えいただければ、予防内容の変更などの提案も受けられると思います。

計画を立てたらドッグフレンドリーなリゾートへ旅行しませんか?

『犬も家族の一員です』と言われて久しいですが、これはわんちゃんを擬人化して人として扱いましょうということではありません。わんちゃんも家族の一員ですから、他のご家族と同じクオリティの生活を送らせてあげましょうというメッセージです。わんちゃんは自分では何もできませんので、ご家族がわんちゃんのお世話を漏れが無くできるように、計画を立てそれを小さなお子さんも含めてご家族全員が共有していただければと思います。

執筆者プロフィール

田邊 弘子
獣医師(DVM MS)、日本ヒューマン・ドッグウォーキング協会理事

一般企業から動物病院、ドッグフードの通信販売会社勤務を経て、犬の飼育についての理解を深めることを目的とした飼い主向け情報誌の製作などを行う。
<人と暮らす犬が幸せになれるように><犬と暮らす人が幸せになれるように>をモットーに、多くの飼い主へ情報を発信している。
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